法人の場合、買収されたときは(敵対的買収)、商標権もあわせて移転します。そういう意味では、法人が保有しているときのデメリットであるとも考えれます。
ちなみに、このような対応策として商標権だけ保持しておきたいと考えているような場合は、「社長個人名義」に変更されておかれるのが良いです。社長の個人名義であれば、会社の買収は関係ありませんので。
商標権を移転するときは「移転登録手続」が必要になります。もし、個人で商標権を保有しているときは、相続も最終的には手続きが必要なるので、もし権利者個人に不幸があれば、相続人は「相続による移転登録申請手続」をしないといけません。もちろん、第三者に商標権を譲渡するときも移転登録手続が必要です。
個人の場合、その住所が公示されるので、自宅の住所が第三者に知られてしまいます。個人の自宅住所を知られたくないような場合は、法人にさえるのをおすすめします。
実際に使ってるのが「会社」で、商標権を持ってるのが「個人」になると、「法人」がその商標権を使っていないとして、 不使用取消審判の対象となる可能性もあります。
これについて補足すると、契約書で個人が法人に使用させているということが立証できれば、そのようなデリットは有りませんが、ネットなどで調べて、商標権と使用者とが一致していることが明確になっている方が、そもそも不使用取消審判を請求されるというようなことがなくなります。
つまり、商標権者が法人で、使用者も法人と最初からしておけば、不使用取消審判に対する、無用な対応費用が減らせます。
現在、商標の審査期間は12ヶ月ほどかかっております。早期審査手続の事情書を提出してから2ヶ月で審査結果を受けられる早期審査というものがありますが、早期審査手続きのため条件として「商標出願人(申請者)」と「使用者(実際に商標を使用している者)」を一致させないとできません。
したがって、申請者が個人(例:社長個人名義)で、使用者が法人(例:社長の会社)であるときは、「商標申請者」と「使用者」とが一致しないことなるので、早期審査手続の条件を満たしません。そのような点からも、「個人」か「法人」かを選択する必要があります。
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修正日:2023年1月10日