【特許番号】特許第5457679号
【出願日】平成18年11月30日
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【請求項1】
タッチセンシティブディスプレイと、
メモリと、
1つ以上のプロセッサと、
前記メモリに記憶されると共に、前記1つ以上のプロセッサにより実行されるように構成された1つ以上のプログラムと、
を備える携帯用電子機器であって、前記1つ以上のプログラムは、
前記タッチセンシティブディスプレイ上の第1の所定の位置に表示されたアンロック画像において、前記タッチセンシティブディスプレイとの接触を検出するための命令と、
前記タッチセンシティブディスプレイとの持続的な接触を維持している間の前記検出された接触の動きに従って前記タッチセンシティブディスプレイ上の前記アンロック画像を移動するための命令と、
前記アンロック画像が前記タッチセンシティブディスプレイ上の前記第1の所定の位置から前記タッチセンシティブディスプレイ上の所定のアンロック領域へ移動する場合に、前記携帯用電子機器をアンロックし、前記アンロック画像の表示を終了するための命令と、
を含み、
前記アンロック画像は、ユーザが前記携帯用電子機器をアンロックするために交信するグラフィカルでインタラクティブなユーザインタフェースオブジェクトであることを特徴とする携帯用電子機器。
①前記タッチセンシティブディスプレイ上の第1の所定の位置に表示されたアンロック画像において、前記タッチセンシティブディスプレイとの接触を検出するための命令
②前記タッチセンシティブディスプレイとの持続的な接触を維持している間の前記検出された接触の動きに従って前記タッチセンシティブディスプレイ上の前記アンロック画像を移動するための命令
③前記アンロック画像が前記タッチセンシティブディスプレイ上の前記第1の所定の位置から前記タッチセンシティブディスプレイ上の所定のアンロック領域へ移動する場合に、前記携帯用電子機器をアンロックし、前記アンロック画像の表示を終了するための命令
アップル社の特許内容は、上記のとおりですが、③については、「第1の所定の位置から・・・所定のアンロック領域への移動する場合」に、アンロック+アンロック画像の表示を終了と記載されているため、タッチした状態で指をどの方向に移動させるかは限定されていないので、左から右に移動する場合以外に権利範囲が及ぶ可能性があり、とても広い権利となっています。
意匠は、同一または類似の範囲まで権利が及びます。上記の意匠権については、スライドボタンの形態とその周辺の形態の類似範囲まで権利が及びますが、アイデアそのものを保護しているわけではありません。
ある位置から別の位置にスライドさせるというような漠然としたアイデアは特許でしか保護できません。これは、特許の権利範囲が文書で抽象化できるのに対し、意匠は主に図面(願書等の記載も含まれます)で特定するからだと個人的には考えてます。
では、特許だけで十分じゃないかと思われる方もいると思いますが、そうとは限りません
個人的には、特許はサッカーのゾーンディフェンス、意匠はマンツーマンディフェンスのようなイメージです。敵が攻めてくる前は、ゾーンディフェンスのようなゾーンで守るにより、自身の領土に踏み入れさせないようにすることが重要です。特許は権利範囲が広いですから、他社参入を防いでビジネスそのものを守ることに繋がりやすいです。
一方、具体的な模倣品が出現した場合には、そのマンツーマンディフェンスで守るほうが効果的です。関連意匠など複数の意匠権を取得しておき、具体的な模倣を防ぎます。このように、ビジネスを守るためには、特許だけ意匠だけというような戦略よりも、特許と意匠を組み合わせた知財ミックスで守るのが良いと思われます。
担当弁理士が、当事務所の強みである、知財ミックス(特許・意匠・商標)の観点から出願戦略をご提案します。お気軽にお問い合わせください。