evorix blog

意匠登録出願の早期審査・早期審理制度を活用して知的財産を効率的に守る方法

作成者: 弁理士 杉浦健文|2025/03/28

意匠権は製品のデザインという重要な知的財産を保護する手段として、多くの企業にとって欠かせないものです。しかし、通常の意匠登録出願では審査に時間がかかる場合があり、ビジネスのスピード感に追いつかないことがあります。そこで活用したいのが「早期審査・早期審理制度」です。

早期審査・早期審理制度とは?

特許庁が提供する早期審査・早期審理制度は、一定の条件を満たす出願について、通常の審査・審理よりも早く審査・審理を行うものです。この制度は昭和62年(1987年)12月15日に導入され、意匠の早期保護という社会的ニーズに応えるために運用されています。

早期審査の対象となる出願

早期審査の対象となる出願は、主に以下の2つのタイプに分類されます:

1. 権利化について緊急性を要する実施関連出願

以下の条件をすべて満たすもの:

  • 出願人自身またはライセンシーが、その出願の意匠を実施している、または実施の準備を相当程度進めている
  • 以下のいずれかに該当する緊急性がある:
    • 第三者が許諾なく、その出願の意匠またはそれに類似する意匠を実施している
    • 出願の意匠の実施行為について、第三者から警告を受けている
    • 出願の意匠について、第三者から実施許諾を求められている

2. 外国関連出願

出願人がその意匠について日本国特許庁以外の特許庁または政府間機関へも出願している意匠登録出願です。

早期審査の申出手続き

早期審査を申し出るには、以下の手続きが必要です:

  1. 提出書類: 「早期審査に関する事情説明書」を提出(出願ごとに1通必要)
  2. 提出者: 出願人
  3. 提出方法: オンライン、特許庁への直接提出、または郵送
  4. 提出時期: 意匠登録出願の日以降(出願番号取得後)
  5. 手数料: 無料

早期審理制度について

早期審理制度は、意匠登録出願に係る拒絶査定不服審判が対象となります。早期審査と同様に、実施関連出願と外国関連出願が対象です。手続きも早期審査と同様に「早期審理に関する事情説明書」の提出が必要です。

早期審査・早期審理制度の注意点

  • 令和元年意匠法改正に基づく複数意匠一括出願手続(意願〇〇〇〇-3〇〇〇〇〇の手続番号を有するもの)は早期審査の対象外です。
  • 令和元年意匠法改正により新たに保護対象となった建築物および画像に係る意匠並びに内装に係る意匠については、審査品質確保のため早期審査の対象外とされています。

早期審査・早期審理の効果

早期審査・早期審理を申し出た案件は、審査官がすみやかに審査を開始し、着手後の処理も遅滞なく進められます。また、早期審査・早期審理の対象となった出願の意匠公報には「早期審査対象出願」または「早期審理対象出願」の表示が行われ、登録意匠目次には「早」の表示がされます。

特許事務所への依頼のメリット

早期審査・早期審理の申出には、「事情説明書」の作成が必要です。この書類には以下のような記載が必要です:

  • 実施状況説明
  • 緊急性を要する状況の説明
  • 先行意匠調査
  • 自己の意匠登録出願中の意匠の記載

これらの記載には専門的な知識が必要であり、不備があると申出が認められない可能性があります。特許事務所に依頼することで、以下のメリットが得られます:

  1. 専門知識に基づく適切な書類作成: 実績のある特許事務所は、特許庁の要件を満たす適切な事情説明書を作成できます。
  2. 先行意匠調査の実施: 日本国意匠公報や公知資料について適切な調査を実施します。
  3. 手続きの迅速化: 経験豊富な事務所は、手続きを効率的に進め、早期権利化を支援します。
  4. リスクの低減: 専門家による手続きで、申出が却下されるリスクを軽減します。

まとめ

意匠権の早期取得が事業戦略上重要である場合、早期審査・早期審理制度は非常に有効なツールとなります。特に競合他社の動きが活発な分野や、海外展開を急ぐ必要がある場合には、この制度の活用を検討すべきでしょう。

専門的な知識と経験を持つ特許事務所に依頼することで、早期審査・早期審理の申出をスムーズに行い、意匠権の早期取得を効果的に実現できます。ぜひ、信頼できる特許事務所に相談し、あなたの意匠を迅速に保護しましょう。

当事務所では、早期審査・早期審理制度を活用した意匠権取得のサポートを行っております。お気軽にご相談ください。